直木賞受賞作家
直木賞(と芥川賞)の受賞者は、しばしば、受賞時の回想や賞金の使い道などを、書かされてきた。「直木賞○周年記念」と銘打たれた文藝春秋の雑誌では、よく、その記事を見かける。『別冊文藝春秋』昭和27年/1952年10月発行の号は、30号記念号で、直木賞・芥…
第41回受賞の渡辺喜恵子は、夫である商業写真家の木下利秀と二人暮らしだった。特徴といっては「主婦作家」ということだったためか、当時の雑誌には、「主婦であること」にフォーカスされた記事がいくつも残されている。そのうちのひとつが『毎日グラフ』に…
『松柏』は昭和52年/1977年に創刊された同人誌。主宰は大浜東窓(大濱侃)で、主に中高年を同人とする、小説・随筆誌である。 同人のなかには、大月常靖など、過去に雑誌編集者だった人物も含まれていて、大衆読物誌周辺のエピソードもチラチラ書かれている…
『群像』の匿名コラム「侃侃諤諤」にとって、文学賞に関するゴタゴタは王道ネタである。第119回(平成10年/1998年上半期)の直木賞・芥川賞は、話題性十分の回で、他のメディアもこぞって取り上げた。当然「侃侃諤諤」でもこのあたり、笑い飛ばしてくれてい…
現存の直木賞受賞作家のなかで、著作目録をつくるのが容易な作家、といえば原尞だろう。なにしろ「死ぬまでに書く小説の数はそらで題名を全部言えるくらいにしておきたい」と公約しているぐらいの方である。今後も著作が一気に増える心配はないにちがいない…
直木賞史上最大のゴシップの主人公となった三好京三。彼は岩手県の有力文藝誌『北の文学』から作家人生をスタートさせ、一時休刊となっていた同誌が昭和55年/1980年に復刊すると、編集委員を引き受けた。 以後、長きにわたって編集委員を務め、岩手の地で新…
有馬頼義が第31回(昭和29年/1954年上半期)直木賞を受賞したころのことは、別のブログでも書いた。基本、雑誌社からの注文はなかったと語っている。ただし、受賞した日からしばらく反響があったとも回想している。 『原点』(毎日新聞社刊) 著者 有馬頼義…
直木賞を受賞すると、多くの場合、直後に『週刊文春』からお声がかかる。同誌の語りおろし連載「行くカネ来るカネ 私の体を通り過ぎたおカネ」にも、さまざまな直木賞受賞直後作家が登場した。製版会社社長だった森田誠吾も、そのひとり。 『週刊文春』昭和6…
直木賞作家の堤千代の没年月日は、昭和30年/1955年11月10日。すでに著作権は切れている。戦後まもなく出版された作品集『小指』に、堤千代は「序」を寄せている。『オール讀物』に投稿するまでの経緯などはおおむね、ほかの随筆や自伝小説と同じだが、全文こ…
直木賞と芥川賞と縁深い雑誌といえば、創設のときから『文藝春秋』『オール讀物』の二誌と相場が決まっている。しかし、文藝春秋社が当時発行していた雑誌はこれだけではない。「第三の直木賞・芥川賞機関誌」、その位置に『文藝通信』誌がある。 『文藝通信…