「ご家庭参上 きちょうめんな主婦 直木賞の渡辺喜恵子さん」(『毎日グラフ』昭和34年/1959年9月27日号)
第41回受賞の渡辺喜恵子は、夫である商業写真家の木下利秀と二人暮らしだった。
特徴といっては「主婦作家」ということだったためか、当時の雑誌には、「主婦であること」にフォーカスされた記事がいくつも残されている。
そのうちのひとつが『毎日グラフ』に載った、見開き2ページの写真記事。
『毎日グラフ』昭和34年/1959年9月27日号
目次
- 表紙 戸畑溶鉱炉の火入れ
- “分れ道”でとまどう
- 月旅行を約束する
- 嵐の中の日教組
- 女の“秋場所”
- お遍路さんこんにちわ(北から南へ)
- 近代化された難所(〃)
- 荒涼たる襟裳岬(15年目の日本)
- 死神に見放される人(人間模様)
- モダン哲学「スポーツについて」秋田実
- 4、5才まで使える(新しい暮し)
- 渡辺喜恵子(ご家庭参上)
- 国際短編映画祭の出品作(映画)
- 女は占領されない(テレビ)
- 軽井沢の新歳時記
- 閑人帖
とにかく、記事の端々で「主婦であること」が無理やり強調されている。
たとえば、本文。
「机の上には書きかけの原稿用紙がきちんと置かれ、たなの上にも、古風なたんすの上にも、まっすぐに物が積んである。廊下はきれいに磨かれて、きれい好きで、きちょうめんらしいこの家の主婦の性格を、物語っている。」
写真キャプションも次のごとし。
「ちょっとした仕ぐさ 気の配り方にも 家庭の主婦にしか見られない 細かさがある 才女などといって悪いような 柔軟さと温かさがある人だ」
「ご主人には まめに仕える奥さんである 「馬渕川」のきめの細かい作風の根源は こんなところにあるのかもしれない」