『オール讀物』の矢野八朗(村島健一)による「作家との一時間」一覧
昭和36年/1961年10月号から3年強、『オール讀物』に毎号にわたって載ったインタビュー記事「作家との一時間」は、同誌の名物企画だった。文藝春秋の社史ですら触れられている。
インタビュアーは矢野八朗。フリーライター村島健一の筆名である。
その記念すべき第一回は、水上勉が直木賞を受賞した第45回(昭和36年/1961年・上半期)発表号。以後、第50回(昭和38年/1963年・上半期)までの受賞者は全員、発表号において矢野のインタビューを受けた。直木賞と結びつきの深い企画だった。
以下、その一覧をまとめる。このインタビューは、主に新作長篇(といっても100枚前後)を寄せた作家に対して行われたもののため、その発表作品と合わせて紹介する。
ちなみに、この企画を採用しはじめたのは、樫原雅春・編集長のときからである。
昭和36年/1961年
- 10月号 水上勉(第45回直木賞受賞者)「棺の花」(受賞第一作)+「水上勉との一時間」
- 11月号 鮎川哲也「死のある風景」+「鮎川哲也との一時間」
- 12月号 黒岩重吾「煮えた欲情」+「黒岩重吾との一時間」
昭和37年/1962年
- 1月号 柴田錬三郎「猿飛佐助 柴錬「立川文庫」第一話」+「柴田錬三郎との一時間」
- 2月号 円地文子「団地夫人」+「円地文子との一時間」
- 3月号 松本清張「眼の気流」+「松本清張との一時間」
- 4月号 伊藤桂一(第46回直木賞受賞者)「水の琴」(受賞第一作)+「伊藤桂一との一時間」
- 5月号 檀一雄「恋と吹雪と砲弾」+「檀一雄との一時間」
- 6月号 源氏鶏太「悲喜交々」連載第一回+「源氏鶏太との一時間」
- 7月号 五味康祐「一刀斎自殺す」+「五味康祐との一時間」
- 8月号 新田次郎「疲労凍死」+「新田次郎との一時間」
- 9月号 南條範夫「無惨や二郎信康」+「南條範夫との一時間」
- 10月号 杉森久英(第47回直木賞受賞者)「早稲田の虎」(受賞第一作)+「杉森久英との一時間」
- 11月号 曾野綾子「佳人薄命」+「曾野綾子との一時間」
- 12月号 笹沢左保「雲の葬列」+「笹沢左保との一時間」
昭和38年/1963年
- 1月号 石原慎太郎「傷のある羽根」+「石原慎太郎との一時間」
- 2月号 井上靖「明妃曲」+「井上靖との一時間」
- 3月号 結城昌治「噂の女」+「結城昌治との一時間」
- 4月号 山口瞳(第48回直木賞受賞者)「伝法水滸伝」(受賞第一作)+「新受賞作家との一時間 山口瞳の巻」
- 同上 杉本苑子(第48回直木賞受賞者)「二条ノ后」(受賞第一作)+「新受賞作家との一時間 杉本苑子の巻」
- 5月号 山岡荘八「八弥の忠義」+「山岡荘八との一時間」
- 6月号 丹羽文雄「女医」+「丹羽文雄との一時間」
- 7月号 藤原審爾「黄金の女」+「藤原審爾との一時間」
- 8月号 尾崎士郎「後藤又兵衛」+「尾崎士郎との一時間」
- 9月号 飯沢匡「臭い金」+「飯沢匡との一時間」
- 10月号 佐藤得二(第49回直木賞受賞者)「女のいくさ」(受賞作の一部)+「佐藤得二との一時間」
- 11月号 梶山季之「冷酷な報酬」+「梶山季之との一時間」
- 12月号 有馬頼義「小説靖国神社」+「有馬頼義との一時間」
昭和39年/1964年
- 1月号 今東光「北斎秘画」+「今東光との一時間」
- 2月号 司馬遼太郎「慶応長崎事件」+「司馬遼太郎との一時間」
- 3月号 瀬戸内晴美「うぐいす塚」+「瀬戸内晴美との一時間」
- 4月号 安藤鶴夫(第50回直木賞受賞者)「巷談本牧亭」(受賞作の一部)+「新受賞作家との一時間 安藤鶴夫の巻」
- 同上 和田芳恵(第50回直木賞受賞者)「道祖神幕」(受賞作の一篇)+「新受賞作家との一時間 和田芳恵の巻」
- 5月号 村上元三「落椿抄」+「村上元三との一時間」
- 6月号 藤沢桓夫「そして跳んだ――小説・南部忠平伝――」+「藤沢桓夫との一時間」
- 7月号 山田風太郎「さざなみ忍法帖」+「山田風太郎との一時間」
- 8月号 高木彬光「黒い波紋」+「高木彬光との一時間」
- 9月号 富田常雄「黒帯綺談」+「富田常雄との一時間」
- 10月号 (第51回直木賞 該当者なし)
- 10月号 城山三郎「ある倒産」+「城山三郎との一時間」
- 11月号 戸川昌子「緋の堕胎」+「戸川昌子との一時間」
- 12月号 海音寺潮五郎「餓鬼道城」+「海音寺潮五郎との一時間」