森田誠吾「行くカネ来るカネ 私の体を通り過ぎたおカネ」

直木賞を受賞すると、多くの場合、直後に『週刊文春』からお声がかかる。

同誌の語りおろし連載「行くカネ来るカネ 私の体を通り過ぎたおカネ」にも、さまざまな直木賞受賞直後作家が登場した。

製版会社社長だった森田誠吾も、そのひとり。

週刊文春』昭和61年/1986年2月6日号(第28巻第5号)

目次

  • 九州―大阪洋上フェリーから消えた高裁判事の“北の果て不倫”
  • 東京駅でコツ然と消えた「袋入り万札束」で拾い主と駅員が白熱の対決二時間
  • 「名所」高島平で飛び降り自殺した おりしも「地価日本一」銀座鳩居堂社長の屈折
  • 山口組・一和会戦争、激化か収束か 止った心臓が二度動いた山口組田岡文子未亡人の執念
  • 郷ひろみから古手川祐子まで ラッシュ「ああ、結婚」に集まる“無遠慮な祝辞”
  • 本誌だけが知っている 三浦和義が裁判所に提出していたデタラメ書面を公開する……「疑惑の銃弾」特別取材班
  • スクープインタビュー 長島茂雄原辰徳を極秘で四時間特訓した私の真意を明かす」
  • スナイパーグラビア
    • 山口組“ゴッドマザー”死す
    • 浅草橋駅焼打ち犯・小学教諭の素顔
    • 天理教百年祭をまかなう24万食の台所
    • 琴天太、驀走の全勝優勝をプレイバック
    • 選挙用とバレて誰も来ない小野清子の会
    • 今年は必死?巨人江川が初めて神頼み
    • 時価一千万円!?ホキ徳田の「裏白50$札」
    • “律義者”ハイマンはこうして死んだ
    • ついに車椅子の人となった土光敏夫
    • 26歳青年と結婚の“かまきり”五月みどり
    • 集団万引・日川高校、生徒四人の授業
  • カラー
    • フォト・ワープ 写真人物論……諸井薫
    • 美人OLベストテン図鑑
  • 小説&エッセイ&マンガ
    • 新連載 秘密……池波正太郎
    • みちのく殺意の旅……西村京太郎
    • 編棒の箸……高橋治
    • 浪花ままごと……田辺聖子
    • タックル右往左往……野坂昭如
    • 読むクスリ……上前淳一郎
    • 事実の素顔……柳田邦男
    • 今夜も思い出し笑い……林真理子
    • てれびGスポット……胡桃沢耕史
    • 川崎徹全集……川崎徹
    • ナウのしくみ……泉麻人
    • シルバー族海を渡る……加藤仁
    • タンマ君……東海林さだお
    • いわゆるひとつのチョーさん主義……高橋春男
    • くるくるぱぁフォーマンス……芳井一味
  • This Week
    • あの平和相銀に大蔵省判決の日
    • 巨人新助っ人投手の“両刀使い”
    • 世界注視マルコス逆転の奥の手
    • 記者近藤紘一「ベトナムに死す」
    • 百九十七歳“三婆”のお嬢様競演
  • ぴーぷる(林真理子安部公房藤本統紀子
  • ニュース速報
  • 文春図書館 「現代用語の基礎知識1986」「黒枠のドラマ 死亡広告物語」
  • TEA TIME
    • 女の仕事 ミズ・インタビュー(安原淳子)
    • 芸能耳報(堀ちえみ松本伊代ほか)
    • おんなの詩……白石公子
    • 昼さがりのプリズム……都竹千穂
    • 考える舌……山本益博
  • 今週のことば
  • 拝啓新聞殿
  • 気になるCM
  • いいものみつけた
  • かあてん・こおる
  • スクリーン
  • 淑女の雑誌から
  • 短歌・俳句
  • 今週の義司
  • 読者のメッセージ
  • 表紙はうたう(和田誠
  • 星野仙一がゆく〈第150回〉ヤクルト“練習王者”の原因
  • マネーゲーム……山内敏孝
  • 名将戦 中村修六段対小林宏四段
  • 行くカネ来るカネ 私の体を通り過ぎたカネ……作家森田誠吾
  • おいしく治そう 丸元淑生のヘルスクリニック 問題児
  • 米長邦雄の泥沼流人生相談

※この号の「行くカネ来るカネ」は連載第26回。大見出しは「新直木賞作家は年商22億の製版会社社長、「原稿料だけだったら生活保護ですよ」」。取材・構成は坂元茂美。

直木賞を受賞いたしますと、総理大臣から祝電が届くんですね。おどろきましたよ。もっとも、『ジユウミンシュトウソウサイ」ナカソネヤスヒロ』できました。外務大臣安倍晋太郎とは、海軍の時に部隊が同じで、やはり、お祝いの詞がきております。」

 たしかに驚く。
 森田誠吾は第一作『曲亭馬琴遺稿』(昭和56年/1981年)が直木賞候補、第三作『魚河岸ものがたり』(昭和60年/1985年)が受賞。ともに新潮社の本で、この記事ではそれぞれの刷り部数が明らかにされている。

「今度の本も、第一作と同様、初版七千部ですけれども、五万部の増刷が決まっています。私は、会社の給料が年収二千万円近うございますので、税金で三分の一以上もっていかれますし、本が増刷になりましても、副賞の五十万円をいただきましても、とにかく、税金でたくさん持っていかれちゃうわけでして、ですから、あんまり、貯金というのはございませんのです。」