『週刊文春』第48回(昭和37年/1962年下半期)直木賞紹介記事
『週刊文春』は、直木賞の決まる季節には受賞者紹介記事を載せるのが定番である。版元が版元だけに、テッパン記事ともいえる。
この記事の見どころはいろいろある。
- その時代に、受賞発表はどのように行われていたか。
- 二人受賞者がいる場合、どちらに比重を置いて記事が書かれているか。
- 選評では書かれない、選考委員たちによる公式な評価。
などなど。
『週刊文春』昭和38年/1963年2月4日号
目次
- 一流社長が敗れるとき 会社を良くするも悪くするも経営者の責任だ
- 銀座どぶネズミ作戦 狂暴化する二〇〇万匹に挑む壮烈な夜襲攻撃
- 直木賞―その夜の酒と涙 サラリーマンと女秘書がみごとかち得た栄冠
- “やさしい男”東京遁走譜 ぐれん隊防止条例で都会をすてたゲイボーイ
- “大馬鹿野郎”の履歴書 にっぽん秘録4 安藤明・戦後の“鹿鳴館”設立へ
- This Week
- 連載小説
- この人と一週間 スカートのなかのカメラマン 美女を手玉にとる秋山庄太郎の裸のレンズ
- ほめる、怒る、叱る
- 家を建てよう……植田一豊
- アメリカ発見……西条八十
- 漫画
- クライム7 事件の裏窓 その肌は死の招待状
- 金融相場の「銘柄月旦」(兜町診断書)……沙羅双樹
- 女給の日記(銀座閨房酒)……井上友一郎
- ミス・フランスになった数学教師(世界の事件簿)
- 三味線にのせた泣き笑い(この場所に女ありて)
- ホワイトカラー
- エプロンのポケット
- 話のくずかご
- レジャーの窓
- ピンクコーナー
- 新聞パトロール
- 映画パトロール
- 短歌・俳句
- 私を探して下さい
- 〃解答
- 棋力テスト
- 読者ジャーナル
- グラビア
※第48回(昭和37年/1962年下半期)の受賞者紹介記事のタイトルは「フラッシュ 直木賞 その夜の酒と涙 サラリーマンと女秘書がかちえた栄冠」。全4ページ。
「「それでは、杉本苑子さんの『孤愁の岸』と、山口瞳さんの『江分利満氏の優雅な生活』を、直木賞に決定いたします……」
司会者の発言が終って、二人の新しい作家が、誕生した。
二十二日。時、午後七時半。
そのころ、江分利氏ならぬ山口瞳氏は、いきつけのバー、ジョン・ベッグで、水割りのグラスを手にしていた。
受賞決定のニュースに、酒場の電話が鳴り始めた。それから共同記者会見、テレビカメラの前の騒々しい、まぶしい時間。」
すでに昭和38年/1963年の段階で、受賞直後に共同記者会見が盛大に行われていたようである。
ちなみに、この記事では山口瞳のほうが、杉本苑子よりも多くの文面を割いて紹介されていた。