『風雷』第129号(平成8年/1996年11月)「浅田晃彦氏追悼」
浅田晃彦は「乾坤独算民」で第60回(昭和43年/1968年下半期)直木賞候補に挙がった作家。
群馬の地で亡くなるまで文学活動を続け、多くの新人を顕彰し後輩たちを育てた。
彼が同人として所属し、エッセイ「往時茫々」を連載していた『風雷』では第129号(平成8年/1996年秋季刊)に追悼文を載せた。
『風雷』第129号(平成8年/1996年秋季刊)
編集・発行人 風雷同人会 事務局 関俊治、定価一五〇〇円、平成8年/1996年11月1日発行
目次
- 談話室……金井徳夫、村中美恵子、金井ナミ
- 浅田晃彦氏追悼
- 伊藤新吉、南雲元女、江口恭平、関俊治、原一雄、梁瀬和男、服部文男、石川光、木暮葈子
- エッセイ
- 思い出(一)―私の詩歴―……阿部富美子
- 県立土屋文明記念文学館を観る……南雲元女
- 飯山の六さん……阿久澤博幸
- 平成のイドラ……井上政夫
- シルバー夫婦(七)……土屋政江
- 生きかわり死にかわりして(一)……山田桂三
- 子守歌……田村甫
- 音楽大好き朔太郎……加藤鶴男
- わたしの場合(4)……武者一雄
- 涯てしなく…………石川光
- 短歌
- 小説
- 岩木山心中(第十二回)……佐藤風人
- とよ女覚え書(一)……佐藤房子
- 雪の精(四)……大崎岸子
- 金沢で見た夢……渋井千代子
- 俳句
- 香焚かな……吉田未灰
- 花水木……江口恭平
- 蛇笏忌……金井徳夫
- 秋祭り……金井ナミ
- 詩
- 烏が私をくわえて……平方秀夫
- 夏足袋……村中美恵子
- 忘れられていたい……若林節
- 見越しきりん……横堀小夜子
- 評論
- 編集後記
- 表紙・カット……豊田一男(故人)
- 題字……横堀草風(故人)
※浅田晃彦は『小説と詩と評論』や『作家』などに作品を寄せていた。前者の主宰は知る人ぞ知る、木々高太郎。浅田は『小説と詩と評論』よりも前に、木々のつくった雑誌に参加していたことを、江口恭平が教えてくれている。
「私がはじめて彼に会った時は、敗戦後ラバールから復員して、前橋の大手町で内科医院を開業していた。夜間診療で小説など書いておれないので、朝日生命の保険医の採用がきまったところだという話であった。すでに、その時月刊読売(週刊誌の前身)に、「唯一つの真実」という作品が、最優秀になっており、木々高太郎(林髞)の発刊・編集による医師仲間の同人誌『ルック・アンド・ヒア』に小谷剛等と名を連ねて、作品を発表していた。
当時、丹頂書房が解散後、桐生に疎開していた作家の南川潤を頼って東京を引き上げ、上毛新聞の記者をしていた朝倉稔氏が、名古屋の小谷剛の主宰している『作家』の同人で群馬の支部長だったので、彼を紹介した。そして、私たちの仲間になることをすすめた。」